自分の会社でも他社でもハイパフォーマーといわれる人はいる。
本書は人事・組織コンサルタントの著者がハイパフォーマー分析をすることでみつけた共通する思考特性を紹介している。
残念ながらハイパフォーマーではない私も本書を読んで色々気付かされた面があった。
では、紹介しましょう。
本書の次のように構成されています。
第1章 前向きなあの人が、なぜ結果を残せないのか
第2章 良くも、悪くも、すべては循環する
第3章 期待の新人は、なぜ「平凡な社員」になったのか
第4章 失敗から学ぶ彼らにとって、仕事は「ゲームだ」
第5章 彼らは、とにかく「小さな行動」を続ける
第6章 彼らは身近な人を支援し、成功を助ける
第7章 彼らは、たまたまの成果を喜ばない
第8章 彼らは、環境が変わっても瞬時に溶け込む
終 章 職業人生を終える時、どういう思いを持ちたいのか
では、私にとって印象に残った部分を紹介する。
売れるAさんと売れないBさんの違い
AさんとBさんは自動車ディーラーマン。両者に「月に何台くらい売るんですか?」と質問。それに対し、
Bさん「いや、なかなか思うように売れないものです。景気もなかなか上向かないですし、競合状況もますます厳しいですし」
Aさん「先月はお陰様で6台購入いただきました」
二人の違いは、Bさんからは言い訳、Aさんからは6台という具体的な数字がでたこと、そして「ご購入いただきました」と感謝の気持ちが意識にすりこまれていること。
そして、著者もどちらか買うかというとAさんから購入しただろうと感じた点と、友人が買おうとしてもAさんを紹介しただろうということ。
ここで著者が言うのが、ハイパフォーマーには明らかな好循環がまわっており、ローパフォーマーには悪循環が回っているということ。
これは、わかりますね。この後にも書かれていますが、できない人は言い訳が多いものです。自分がうまくいくには、感謝の気持ちを持つということが大事だとあらためて思った次第です。
女性管理職が見た、エラくなる男、ならない男
「女性管理職300人調査」という調査の結果がプレジデント誌に掲載されていたそうだ。
その中で「仕事の進め方」における項目で、「いつも締め切りより前倒し」と「ギリギリの追い込みで勝負」との対比調査があった。
エラくなる男の場合、「いつも締め切りより前倒し」との回答が86.3パーセントであるのに対し、できない男の場合は、「ギリギリの追い込みで勝負」が94.7パーセントを締めていたそうだ。
同様に「結果思考」と「プロセス思考」の違いもこれに近いところがある。
「結果思考」の場合は、プロセスはともかくなんとか結果を出す、あるいはなんとか形を整えるという方向に意識は向かう。しかし、結果が良かったか悪かったかだけが問題となり、常によい結果を出し続ける「再現性の確保」が問題でなくなる。次にまた実施する場合には学びはなんら得られない。
プロセスに意識を集中させた場合は、結果がでるまでタイムラグが発生するかもしれないが、そこからの学びがあり、再現性を確保することにつながる。継続的に成果をあげる観点からすれば、「プロセス思考」によって好循環を起こすことがより重要と言えるであろう。
確かに結果は大事であるが、そこに一喜一憂していてはいけないのであろう。プロセスを大事にしたいと感じた部分である。
そして、この後にも出てくるのであるが、失敗したことに対する当事者意識の大事さである。
ハイパフォーマーは、楽観性とセットで失敗を受け止める
ハイパフォーマーを分析していてわかったことがある。失敗の受け止め方は「楽観性」とセットになっているということ。深刻になり過ぎずに比較的さらりと受け止めることができる。感情面はスルーし、事実だけ受け止めるため、必要以上にダメージを受けない。
失敗を自分事として受け止め、失敗から学ぶことで、行動は改善される。同じ状況が起きた場合に、二度と同じ失敗は繰り返さず、適切に対処できるようになるのである。それにより自信が形成され、さらに困難な課題にチャレンジできる。
一方、失敗した時に受け止めずに流してしまったり、他人のせいにしたりする場合、そこからの学びは得られず、行動は一向に改善されない。同じ状況が起きた場合、また、同じ失敗を繰り返すことになる。
これ以外にもハイパフォーマーの特性として、「新しいものにいち早く反応する」「身近な人を支援する」「たまたまの成果をよろこばない」などエピソードを通じて紹介しています。
高い成果を上げ続けるひとになるためのポイントを紹介した一冊。一つでも参考にしたいと感じた次第である。
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