定年ひとり起業 生き方編 by 大杉 潤 ~シリーズ3部作目は著者が実践する老後の生き方の実践編【読書記録】

書評

定年後も好きな仕事を長くつづけ、生きがいのある生き方を送るための実践法を紹介する「定年ひとり起業シリーズ」の3作目 生き方編を読みました。

今回読んだ本はこちらです。

本シリーズの1作目は定年ひとり起業のすすめと著者の実践についての紹介、2作目はマネー編ということで、ひとり起業とあわせたマネープランがテーマでした。

今回の3冊目は生き方編ということで、定年後のライフスタイルがテーマとなります。

トリプルキャリアで人生を考える

大杉さんは長く働き続きける生き方としてトリプルキャリアという考え方を提唱しています。
会社員としての「ファーストキャリア」 ここでは安定した収入を得、しかも厚生年金という大きなメリットを確保する時代。
ただしここには65歳で強制的にリタイアさせられてしまうとデメリットもあるので、65歳の前に雇われない働き方「セカンドキャリア」への移行をすることが大事だと言われています。

大杉さん自身も57歳でサラリーマンを辞めて独立。起業されてもう8年近くなり、最初を苦労されたものの現在ではストレスなく働いている方です。
本書はこのファーストキャリアからセカンドキャリアへの移行を目指す世代の方がターゲットになります。

そして「サードキャリア」では、体力・健康面での制約も予測されるのでライクワークに絞り込むことを提唱されています。

このようにして長く働く上での武器は「オンリーワン」の存在として仕事をすることだそうです。
これはリクルート出身の藤原和博氏が提唱している理論で、100人にひとりの専門性を3つもつことで100万人分の1の希少性をもつ存在になるということです。
大杉さんはオンリーワンとして成功するためには「好きなこと」「継続すること」の中から組み合わせることがポイントであると述べられています。
大杉さん自身は、ビジネス本の多読・実践、銀行員としての経験に基づく財務戦略、そして発信力を組み合わせていると書かれていますが、これは、大杉さんだからそうできたのだろうと思わず、自分自身についてもなにか専門性があるのではと考えることが大事だと思いました。

ICTの活用がシニアには求められる

本書「生き方編」ではICTの活用がポイントとして多くのページを割かれています。
ICTを活用できる70代は今の時点で多くないが、その10年下の世代は自らPC作業をしていた世代でもあり、これからの高齢者はICTを自在に活用することが比較的抵抗なくできるであろう。
そこで最重要のリスキリングはICTだと述べられています。
本書でもICTを活用している高齢者の事例を紹介されており、大杉さん自身のICT活用の歴史についても紹介されています。
そこでは、ビジネスの入り口としてのtwitter、ストック型で人生の母艦となるブログ、中高年のメインツールになるfacebookについてご自身の事例を紹介されています。
さらに最近ではyoutubeへのチャレンジについても書かれています。
動画については、まだまだ発信している高齢者はまだまだ少ないとのことです。確かにこの領域については今からでも先行者の立場になれるのではと感じました。

さらには老後の資金づくりについてもICT活用がポイントであるとのこと。
退職金などのまとまったお金を運用するには、運用コストの高い金融商品ではなく、ネット証券などを利用し、自分自身で考えて運用することをすすめられており、その際にもICTの活用が重要であるとのことです。

専門家から学び実践している健康法

大杉さんは定年後の3つの不安のひとつとして「健康」をあげられていましたが、これまで「健康」に対してどうすればよいのかということについては述べられていませんでした。

今回は、ついにその健康について語られています。

大杉さんの健康法は、高齢者専門の精神科医 和田秀樹氏、脳科学者の茂木健一郎氏、認知症専門医・ライフドクターの長谷川嘉哉氏の著書を参考に自分自身の健康法を確立され毎日実践されています。

大杉さんが最も重要としているキーポイントが「体温をあげる」ということです。
そのため、毎日1回かならず浴槽にはいって身体をあたためること、それと筋トレを実践することで平熱があがり、風邪ひとつ引かず健康で過ごされているとのこと。

また、人は人生の最後は、「自分の足で歩くこと」「自分でトイレの排泄する」「自分で食べる」の順番でできなくなっていくそうです。
ですので、その最初である「自分の足で歩けること」が健康寿命を延ばすために大切だとも述べられています。

長く楽しく生きようと思うと、まず第一は健康であることが基本になるとは私もそうだと思います。
大事なのは日々実践すること。本書ではその大事さと大杉さんの実践事例が参考になりました。

12,000冊から選ばれた15冊

大杉さんは1日1冊の本を読み、その書評をブログにアップするということを毎日続けられており、累計では1万2千冊以上の本を読まれています。

その中から選ばれた15冊の紹介。次の5つのテーマから各3冊ずつ選べられています。

  1. キャリア
  2. お金
  3. ICT活用・情報発信
  4. 健康
  5. 人生設計・ライフスタイル

各本のエッセンスがコンパクトにまとめられており、大変参考になります。テーマ別に分かれていると自分が関心あるものとそうでもないのがわかり、ここから興味をもった本を実際に読んでみるがいいと思います。

デュアルライフの醍醐味

最後の章は大杉さん自身が実践する伊豆と埼玉のデュアルライフの紹介です。

大橋巨泉氏のライフスタイルに憧れを持ち、また、ハワイが大好きで将来はハワイに移住するという夢をもたれていることから気候のよい伊豆にも住まいを持たれたそうです。

そこでの生活は、第1章でかかれたセカンドキャリアからサードキャリアへの移行の過程としてまさに理想ともいえる生活。

伊豆という温暖で温泉もある場所で美しい景色をみながら、執筆業やyoutube動画の撮影編集作業を行い、その場所も近所のカフェであったり、気分転換を兼ねながら楽しまれています。
仕事の合間には温泉に入り、また毎日の生活は規則正しく健康にも気をつかわれています。

皆が皆、同じような生活を望んでいるわけではないでしょうが、自分が望む生活をイメージし、そこにむかってどうやっていけばよいのかを考える上では大変参考になる実践事例です。

まとめ

定年ひとり起業シリーズはこれで3冊目

1冊目では定年ひとり起業という選択肢とそこに向かうための道筋について
2冊目ではマネー編という事で、老後資金についての理解と資金の作り方
についてのご自身の実践したきたことも交え、教えてくれた。

本書では、ICTの活用と健康、そしてご自身のデュアルライフというまさに生き方編の紹介。

また、大杉さんのすごいのは多くの本を読むこともそうだが、そこから学んだことのまさに実践力だと思う。
本書は特に50代くらいの数年後の定年後を考える方がターゲットの中心ではあろうが、ファストキャリアを終え、次を考える私のような60代前半の世代にも参考になる内容であった。
まさに大杉さんのように本で学んだことを実践に移し、さらに人生を楽しくしたいと思う1冊であった。

 

 

 

 

 

 

 

 



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