本書の著者はライフネット生命保険の 代表取締役会長の出口氏
出口氏は長年日本生命に勤められたが、55歳の時に小会社へ出向、その後退職されライフネット生命保険を立ち上げた方だ。
その出口氏が「50歳からもう一花咲かせるための働き方」を語るのが本書です。
本書の構成はおおきく次の3部構成となります。
- 出口氏が語る50代が起業に最適な理由
- 50代で会社をやめ、新たに事業を立ち上げた方へのインタビュー
- まとめ
3部とはいえ、2のインタビューは6名の方にしており、実際に起業された方からの言葉から学ぶことに多くのページが割かれている。
1.50代が起業に最適な理由
出口氏が最適という理由は次の3点に集約される。
- 50代はサラリーマン生活で色々な経験をしており、ノウハウが蓄積されている
- 若い世代に比べてリスクが低くなっている。
- 家族の理解が得やすくなっている。
2.6名の方へのインタビュー
インタビューされた6名の方は調剤薬局チェーン、駐車場ビジネス、電気設備工事、コインのネット通販、スイーツの製造販売、行政書士として独立など様々だ。なかには、50過ぎに起業して上場までされた方もいる。
そんなインタビューから私が印象に残った部分を紹介しよう。
リーダのとるべき行動はという問いに対し、
矛盾しないということでしょうか?自分にできないことを部下や社員に求めるひとを見かけますがあればいけません。
(中略)
トップに矛盾があると社員の中にも必ず裏と表ができる。働いているフリをするようになる。これでは社員も会社も伸びませんね。
サラリーマン時代の経験が今のビジネスで生きていると感じられることはあるかとの問いに対し、
お客さんの気持ちを考えて行動するという習慣が身についていることでしょうか。相手の気持ちを察知できない人は独立すべきではないでしょう。上司に「あれ、どうなっている?」と聞かれて、「あれって何ですか」と聞き返すタイプはダメ。そういうタイプは何があっても会社に残るべきです。
サラリーマン時代に想像していたことを違うと感じたことはあるかとの問いに対し、
まず驚いたのは経営者がいかに孤独かということ。新商品の開発も含めて、経営に関して妻には一度も相談をしたことがありません。相談すると、結果次第で彼女が責任をかんじることなってはいけないからです。トップとして当然のことだと思うのですが、なにかを決断することがこれほど大変だとはわかりませんでしたね。
これ以外にも多くの示唆を与えてくれる文が満載です。
3.出口氏のまとめ
最後は出口氏が50代からのチャレンジを成功させるためにまとめています。
まず起業が成功するための条件をあげています。
- 風が吹いていること
- 風向きを的確に捉えること
- 掴んだ風向きに個人の才能がジャストミートしていること
次に起業の準備には知的武装も欠かせないと述べています。知的武装は人・本・旅で学ぶしかないという指摘にはうーんなるほどーと思わせてくれました。
また、起業を考えているなら積極的に人と会うべきとも言っています。出口氏自身も30代の頃からいろいろな人に会っていたのが役に立っていたそうです。
そして、あとがきの最後に書かれていたことをどう思うかが勇気を奮い立たせてくれます。
50歳は人生の折り返し地点に過ぎません。平均寿命まで生きられるとすれば、残りは30年もあるのです。ある習い事のお師匠さんが次のように言われていました。「お茶でもお華でも小唄でも、なんでも3年黙って通えば一人前になって免状くらいもらえますよ」。30年あれば免許皆伝が10個ももらえるのです。そう考えれば時間は無限近くあると思いませんか。
50代で定年ちかくなり、自分ももうすぐ終わりかと思っている方。本書を読んで元気をもらいましょう。
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