永遠の0(ゼロ) by 百田 尚樹 ~ 読んでから映画「風立ちぬ」を考えた【読書記録】

読んでいて何度も涙が止まらず、かなりやばいと思いました。
私は本は大体移動中に読むのですが、今回は、出張中の飛行機の座席や待合室などで
ついほろっと。

物語の始まりは二人の姉弟が祖父の事を調べようとしたこと

姉はフリーライター。弟は弁護士を目指していたが、何度か不合格になりフラフラしている。
二人にはおじいちゃんがいるが、調べようとしたのは、そのおじいちゃんではなく、
おばあちゃんの最初の夫であり、姉弟の母親の実の父。
第二次世界大戦の特攻で死んだということしかわかっていない。
旧海軍のつてをたどり、祖父がどんな人物だったか聞いていくのだが、
会うたびに祖父がどんな人物であるかがわかるとともに、日本軍がいかに愚かな
戦い方をしたか、また、兵士を物のように扱ったがわかっていく。
特攻隊というと「お国のために」と狂信的に自ら敵に突っ込んで行ったような印象があるが、
そんなことは無い。
一人一人家族があり、生活があり、様々な想いがある中、戦争という異常事態の中、
その想いをおくびにも出さず死んで行った若者たち。
今の自分もそういう犠牲のもと生かされているのだと改めて思う。
本書中にもあるが、最初は無敵だったゼロ戦。
日本がこのような特攻や途中での戦い方で多くの戦略ミスをしているが、
それは、ゼロ戦のせいだったかもしれない。

読みながら、映画 「風立ちぬ」の事を考えた

映画自体はゼロ戦の設計者である、堀越二郎と風立ちぬの作者 堀辰雄の物語を掛け合わせて創作されたものではあるが、映画の中の堀越二郎は美しい飛行機を作ろうをしていた。
そのため、余分なものを取り去り、曲線をつかった美しい飛行機。
軽く、旋回性能も高く、航続距離も長い戦闘機。
そのような物を作ってしまったため、無理な戦闘をする事になった日本軍。
もし、ゼロ戦がなければ、もっと早く戦争は終結し、あれだけの犠牲は出さずに済んだのではと思った。
軽いがためにパイロットを守る装甲板は無く、防御に弱い。
また、曲線を多用したために、戦争後半では熟練技能工がいなくなり、戦闘機自体の品質が落ちたこと。
トータルで考えると問題が大きかったのではと思うが、それは今だから言えることかもしれない。
私は本当の堀越二郎がどんな人物かは知らない。
あくまで映画の中で描かれた堀越二郎と重ねた印象である。
映画の中でも最後は東京が真っ赤に焼けている絵が出てくる。そこでもゼロ戦を作ったがため、戦争が長引き日本が焼け野原になっているのを示唆しているのではと思った。
この永遠の0もまもなく映画化される。
どのように描かれているか楽しみ。
尚、日本どのような犠牲の上に成り立っているかということを知るためにも
本書はぜひ読んでもらいたいと思う。

 

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