日本人とドイツ人の働き方を比較して、日本の働き方改革実現に向けて一投を投じる本があります。
著者は元NHKの社員ですが、90年からフリーのジャーナリストとしてベルリンにお住まいの方です。
その著者がドイツ人の働き方と日本人の働き方を比較しているのが本書です。
本書は私が参加している読書会「3B」の8月度の定例会のテーマ本でしたのが、
今回読むきっかけとなりました。
今回紹介するのはこちらの本
5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人 ドイツに27年住んでわかった 定時に帰る仕事術 (SB新書) | ||||
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本書は次の構成となっています。
序章 日本の働き方は改革できるのか?
第1章 なぜドイツは残業なしでも経済大国なのか?
第2章 国による厳しい監視が必要
第3章 残業よりも早い帰宅を評価する
第4章 ドイツの仕事は個人ではなく会社につく
第5章 過剰なサービスを減らして時短を実現
第6章 日本でも働き方の意識改革が必要だ
それではいくつかポイントを紹介しましょう。
本書で言われているドイツの日本の働き方の大きな違い。
それは、ドイツでは1日10時間を超える労働が禁止されているということです。
日本でも労働基準法があり、36協定がありますが、実質骨抜きになっているのが事実。
しかし、ドイツではこの1日10時間労働がきちっと守られているそうです。
なぜできるかというと、法律違反により罰金を命ぜられたとき、その罰金は会社ではなく
残業させた管理職が自分のポケットマネーで払わなければならないということがあります。
また、仕事の仕方や取り巻く環境にも差があると感じました。
ドイツには短くても1か月、長ければ1年の長期休暇を与える「サバティカル」という制度があるそうです。この制度が導入されている企業の割合は6%とまだまだですが、増えつつあるとのこと。
もちろんそれだけ休めば周りに迷惑がかかるのですが、ドイツには仕事は個人ではなく会社についているという考え方のもと、周りの理解を経て不在中の引継ぎをして休むそうです。
もちろん休んでいる間にメールをみるなんてことはないそうです。
さらに、有給休暇と病気休暇とは別だそうです。
日本では、病欠を有給にあてますし、万が一のため有給をある程度確保しておくということがありますが、ドイツでは病欠で最大6週間までは給料が支払われるということがあるそうです。
そして、これだけ短い時間しか働いていないにも関わらず、経済好調なドイツ。
本書内にはデータも掲載されていますが、ドイツの一人当たりのGDPは日本より18%多く、労働生産性は日本よりも約46%多いそうです。
残念ながら本書には働き方の違いについては書かれていますが、なぜそれだけ経済が好調なのかは書かれておらず、ちょっともやもや感は残ってしまいます。
著者は自分自身のNHK時代にも番組制作のために徹夜した経験なども書かれていますが、長時間労働の非効率さについても再三述べられいます。
今回、読書会の中のディスカッションでも、ここに書かれているのはドイツでもトップの企業の話で中小の実態と違うのではとか、日本はやはり仕事が個人についており中々休めない、残業代の割り増し率が25%と低く、この率を50%とかに変えたら変わるのではなどの議論がありました。
日本も働き方改革にむかって動いている中、実現にむけてどうしたらよいかという点では参考にすべき点もあると思います。
新しい働き方の参考に読んでみてはいかがでしょうか。
コメント
内用紹介ありがとうございます。公共交通機関に従事者も長期休みが取れてるのですかね?
時給より日給制にすれば、効率は上がります。多分。