定年後はそれまでの経験を活かし、社内との繋がりを持つことを薦めている本を読みました。
本書の著者は元々メーカーで法務にお勤めだったのですが、その後金融機関に転職。IPO支援などを経験したのち独立された方です。
1980年生まれで定年世代にはまだまだのお方ですが、定年前後のシニア起業を支援し、これまでの支援実績は5,000件を超えるそうです。
今回紹介するのはこちらの本です。
本書の構成は次のようになっています。
第1章 私にも起業はできる?
第2章 起業までの下準備、カギは「やりたいこと重視」
第3章 「やりがいのある起業」に向けての進め方
第4章 成功のためのシニア起業の実践法
第5章 成功するシニア起業はここがちがう
第6章 シニア起業は優遇。行政の制度を積極活用!
本書で私が感じたポイントは
まず、ファイナンシャルプランナーの資格をもっている著者が経済設計をきちっと行うことを提案している点です。
ふたつのケースを例としてあげており、
ケース1では定年後再雇用のケース。55歳で役職定年で給料が減り、60歳で退職金をもらうものの再雇用の給料はさらに減少し、300万程度となり。65歳で会社を退職。妻のパート代は120万円で推移しているケース。
ケース2では早期退職し、起業するパターン。起業した場合の最初の月収は10~20万、66歳時点での年収で352万円と非常に現実的な想定です。
また、自分の強みを考える上で、自分のレベルを「特A」「A」「B」「C」の4段階で評価するというやり方も面白いです。
「特A」は外売り可能
「A」はいまからさらに勉強を重ねれば売れるレベルになる
「B」は得意だがニーズが低い
「C」は第一線をはずれて何年も経っている、もう一回知識を身に付けなければならない
ということとのこと。
多くの場合、自分が得意だ、できると思っていても「B」や「C」だったりするケースも多かったりします。
本書では実例も紹介しており、著者もコンサルティングの中では、「やりたいこと」「できること」の中で「特A」もしくは「A」といえる分野でかつやりがいを感じる仕事をみつけるのは非常に時間がかかると言っています。
起業の実践法の中では、
「顧問」「コンサルタント」「アドバイザー」「カウンセラー」の違いを明確にしている点も参考になります。
やはりシニア起業ですと、実務より経験を活かしたコンサルティングを目指す方が多いとおもいますが、この4つの言葉の違いはあいまいに使っているのではないかということを改めて感じました。
また、料金体系の決め方も参考になります。
それ以外も名刺作成のポイント、ロゴ制作や商標登録、チラシの作り方、ホームページの作り方なども具体的なアドバイスが書かれています。
成功するポイントの例としては、
フットワークが軽い、ポジティブな人柄で人脈が広い、マメで優しく気配り上手という点を実例を挙げて紹介しています。
一方、起業に向いていない例としては「自分のことを制御できていない方」をあげています。
本書の最後では、起業家を支援する行政の仕組みについても紹介しています。
ここでも助成金制度と融資制度の違いを説明されています。
そして巻末には事業計画書のテンプレートもあり、起業の実践に向けて大変有益な本であると感じました。
シニア起業を検討の方は一度本書を手にとってみてはいかがでしょうか。
コメント