著者の佐藤可士和氏はアートディレクター。
ユニクロのロゴ、国立新美術館ロゴや今治タオルのロゴなどのデザインを担当し、それぞれシンプルだがそのものが伝えたいメッセージをしっかり伝える作品を生み出しています。
その佐藤氏のオフィスもシンプルでたいへんすっきりとしています。本の中にも写真がありますが、すごくきれい。
その佐藤可士和氏が伝える整理術。
佐藤氏は整理という行為をポジティブに捉えており、このように伝えています。
整理術を磨いていくと仕事を取り巻く環境がみるみる快適になっていくのが実感できるはずです。それに伴い、仕事の環境も劇的にアップしていることでしょう。この本で僕が述べる整理術とは、整理のための整理ではなく、快適に生きるための本質的な方法論。ですから、デスク周りなどの空間から仕事上の問題、人間関係に至るまで、あらゆる場面に応用できるのです。
本書は次のように構成されています。
1章 問題解決のための”超”整理術
2章 すべては整理から始まる
3章 レベルⅠ 「空間」の整理術 - プライオリティをつける
4章 レベルⅡ 「情報」の整理術 - 独自の視点を導入する
5章 レベルⅢ 「思考」の整理術 - 思考を情報化する
6章 整理術は、新しいアイディアの扉を開く
本書を読んで自分ですぐ取り組めると思うのは、3章のレベルⅠまで。それ以上はレベルが高く、意識していかないと中々できません。
その3章のレベルⅠでまず言っているのが空間の整理の目的は快適な仕事環境をつくるということ。佐藤氏は以前勤務時代の事務所がごちゃごちゃであらゆるものが山積み状態。そんな中で有名写真家のオリジナルプリントを無くしてしまうという苦い経験から、自分が独立した際にはこうしたトラブルがおこらないよう整理を徹底しようと意識したそうです
その空間の整理まずは身近なカバンの話から始めます。以前はカバンの中に色々なものを持ち歩くことが多かった佐藤氏。しかし本当に持ち歩くことが必要なのか、ひとつひとつの物に対し自問自答したそうです。たとえば、コンパクトタイプのデジカメ。(今と違いスマホの普及していない時代です。)使うのは月に1~2回。なら使う時にだけハイエンドのカメラを持っていくようにし持ち歩くのをやめたそうだがまったく困らなかったそうです。
デスク周りで言えば、デスクは作業する場なので、天板以外は何も置かないようにする。そしてその都度の作業に必要なモノだけおき、終わったら片付ける。モノにはそれぞれの定位置を決めそこにしか置かないことを徹底する。
書類や資料は最新バージョンだけをとっておく。
そういったノウハウやファイル方法、PCのファイル名のネーミングの仕方など大変役に立ちます。
私も自宅でデスク整理の方法を取り入れましたが、当たり前ですがすっきりしました。
レベルⅡになると独自の視点の持ち方についての解説なので、ここはやや難しい。
レベルⅢですと思考をどう情報化するか?でさらに難しいテーマです。
それぞれのテーマについては、佐藤氏がこれまでデザインしてきた事例を元に解説してくれるのでわかりやすいのですが、自分で実践できるかというとなかなかハードルが高い印象です。ただ、考え方のベースとしては大変参考になりました。
本書は2007年にかかれ、2011年に文庫化された本です。
もう10年も前の本で昔も一度読んだことある本なのですが、今回とても新鮮な気持ちで読めました。
と、いうことは過去に読んだけど自分では実践できなかったという裏返しでもあります。
今回感じたことを少しでも実践に移し、自分の中にも定着させたいと思えた一冊でした。
コメント