マネージャーとなり、初めて部下を持つと張り切って成果を出そうとします。それまで優秀なプレイヤーだった訳ですからどうしてもそうなります。
しかし、仕事は任せることで強いチーム作りが出来ると教えてくれる本があります。
今回はそんな本を紹介します。
本書の著者は日本生命に勤めた後、ライフネット生命を立ち上げた出口治明さんです。
日本生命でもロンドンの現地法人の社長や国際業務部長などの豊富なマネジメントを持つ出口氏。
こう聞くとマネジメントの達人のように感じますが、本書の中でも自分の失敗のエピソードも交えながら、マネジメントのポイントを紹介しています。
第1章は上司になったら「任せるしくみ」をつくりなさい
まず最初に上司にとって
「人間の能力は、それほど高くない」
「上司の管理能力は、せいぜい部下2〜3人である」
ということをわかっていないとチームは機能しない。そして、「仕事を任せる」ことはビジネスを成長させるためにも、お金を稼ぐ為にも非常に大切であるとと述べています。
では、「任せるしくみ」を作るとなぜ会社は強くなるのでしょうか?
そのことについて出口氏は
- 経営と業務執行の分離が実現する
- ダイバーシティ(多様性)への認識が高まる
- グローバル経済の変化に対応できる
と考えており、それぞれについて詳しく解説しています。
特にこの章では、任せると決めたらその範囲には口出しせずにやらせること。
また、同質なものばかりではなく、多様性を大事にしないとこれからの社会では勝ち続ける組織は作れないということを言われています。
第2章では、「いい任せ方」について説明しています。
まず、最初に「丸投げ」と「任せる」の違いをちゃんと理解としないといけないと言っています
そして、的確な指示を出すための4つの条件をあげています。
条件① 「期限」を示す
条件② 「優先順位」を示す
条件③ 「目的・背景」を示す
条件④ 「レベル」を示す
の4条件です。
そして、仕事を任せるときは「責任」も一緒に持たせてみることだそうです。
部下がサボるのは上司が仕事を与えていないからとも言っています。
第3章では、「プレーイング・マネジャー」になってはいけないということについて書かれています。
上司というものは、部下が10人いるなら10人全員が毎回60点取れるようにし、
そして、全員が60点をキープできるようになったら、次は65点を取れるようにかさ上げしていく。それがマネージャーの役割と述べています。
そこで、プレイイングマネジャーは置くべきではないというのが出口氏の考え方です。
マネージャーとなった上司が部下を動かす3つの方法としては、
- 上司を好きにさせる
- 圧倒的な能力の違いを見せる
- 必死に働いている姿を見せる
を紹介し、それぞれの効果やどれがやり易いかということを説明しています。
さらに、上司にとって必要な洞察力を高めることの必要性を訴えており、その方法としては、
「人から学ぶ」「本から学ぶ」「旅から学ぶ」3つの方法があると言っています。
出口氏自身は「本」から得たインプットが最も多く、また費用対効果から見ても「本」が一番お得と言っています。その中でも「古典」を好んで読むそうです。「一冊の古典は、10冊のビジネス書に勝る」かもしれないと述べています。
第4章では、チームの実力をあげることについて書かれています。
ここでは、「年功序列のおじさんたち」が集まった会社は新しいアイディアが生まれにくい。だからダイバーシティが必要と述べています。
「新しいアイディアは他人の頭の中になる」この考えをもてるかどうかが任せる上司になれるかどうかですが、本章では出口氏がライフネット生命での実体験も紹介されています。
また、任す方だけでなく、「任される方」にも任されることでのメリットがあると言っています。
それは、
- 存在価値が認められ、やる気が出る
- 成長する(視野が広くなる)
- 責任感が身につく
の3点です。
この章では、とにかく部下に任せ、また褒めるようにするということを薦めています。
最後の章は「時間を殖やす」「成果を殖やす」人材マネジメントについてです。
この章では、変化する市場に影響力を与えるには、スピードを速くするしかない。と述べており、スピードを速めるには自分の不得意なことは専門家に任せ、自分の時間は「得意なことをやるため使う」ことが最善だそうです。
専門家を探す方法としてはマーケットから買ってくる方法やSNSで探すということも薦めています。
本章では、「自前主義」では時代の変化についていけないので、会社にとって「いちばん付加価値が高い」コアコンピタンス部分以外やアウトソーシングして外部に任せるということを述べています。
ただしアウトソーシング先を選ぶ際には、コストだけでなく「リスク管理」も重要し、そして任せた後もしっかりマネジメントし緊張関係を保つことも必要と述べています。
本書はタイトル通り、「任せる」ということをマネジメントの基本として、その具体的なやり方や考え方について説明しています。
中々人に仕事を任せられないと思っている方は一度本書を参考にしてみてはいかがでしょうか。
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