「神の月」by 角田 光代 ⇒ 気持ちを思うと悲しく、怖かった


昨年映画化され、6月からDVDレンタルも始まった本書。
本の帯に話題作ついに映画化って書いてあるが、
そうなんだー、と思いつつ読んでみたら結構面白かったです。
本作について人に聞くと、若い男に貢いだ話でしょ。
とか、言われる事が多かったが、正しいけども違うと感じた。
本書の主人公は梨花
年齢設定はたまたま私と同学年。物語の時代設定も80年代から90年のバブル期とその後
うーん、感情移入できそうな設定である。
梨花はエスカレーター式の女子校に通い、短大から就職。
結婚して専業主婦となり、夫の給料の中でやり繰りしてちょっとしたことで喜びを感じる日々。
子供もできず、ちょっとした夫に対する違和感から銀行のパートに出ることになるのだが、
取り引き先の訪問で出会った若い男とつきあう事に。
最初はちょっとした食事のご馳走が、段々レベルが上がり、GWの休みにその男とホテルで過ごすことにホテルの予約をとろうするが、「スイートルームなら10日間予約可能」と言われ、値段も聞かず予約をいれてしまうとか。
ホテルのスイートルームも日常になった後は、二子玉川にマンションを借りることに。
その家賃が28万円。
普通払えないでしょう。
そこで、お客のお金に手を付けることになってしまうのだが、
この時の気持ちが怖い。なにせ悪いことしているという気持ちがない。梨花は「借りた」お金を本気で返すつもりでいたのである。
そして、男に対する気持ちは好きというより、自分の気持ちを満たそうとしているところが悲しいのである。
他に登場する女性達も悲しく、怖さを感じた。
梨花の高校時代の同窓生の木綿子
こちらも結婚して専業主婦。徹底的な節約生活。
子供にも徹底した節約生活の上で万引きを犯してしまう。
自分は一生懸命しているのに何が悪いのわからない女性である。
もう1人の友人 亜紀
結婚していたが、浪費が原因で離婚されてしまった女性。
パートから正社員へと立ちなおったと頃、別れた娘とも会うようになるのがだが、
娘にはカッコつけて色々買い与えてしまう。
そして、百貨店での買い物も試着したら断れない。
せっかく立ち直った生活も元の木阿弥となってしまうし、娘が自分に会うのは、
何かを買ってもらう為だと気づいてしまった時の気持ちが哀しい。
物語のサイドストーリーでは、男も出て来る。
その男は梨花の元彼。
その男の妻は昔は豊かな生活をしていた。しかし、今は自分の子供時代と同じことを子供にしてあげられないことに愚痴を言う毎日。
その妻が急に明るくなった。久しぶりの買い物で気持ちが晴れたのだが、その原資は消費者金融からの借金であった。
妻の愚痴が嫌で会社の部下と不倫関係にあるのだが、こちらも金遣いが荒い。
レストランに行けば、値段も考えずに料理やシャンパンをオーダー。
そんな金銭感覚に男は恐怖を感じてしまうのである。
角田 光代さんが上手に気持ちを描いている。
物語は彼女達の気持ちの移り変わりを通じて、描かれています。
自分の虚栄心や喪失感を埋めるために常識をはずれたお金をつかってしまう女性が登場する本書。
悲しさと怖さを感じてしまいました。
そこで、うちは大丈夫かな〜?と思って妻に聞いてみたら、服は試着しても買わないのが、当たり前。
高いところで外食できなくてもお金が無いんだからとうぜーん。と一刀両断。安心した。
映画では主人公の梨花を宮沢りえが演じている。私は映画は見ていないのでなんとも言えないが、
本を読んだ感覚では宮沢りえではきれいすぎるので、吉瀬美智子さんあたりに演じてもらいたかったかな。
次はDVDでも観てみよう。

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