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著者の中野 剛志 氏の著書「TPP亡国論」「レジーム・チェンジ」に続いて三冊目である。
元京都大学 大学院工学研究科の准教授だっただけに理路整然と日本を取り巻くリスクを語る。
本書では「深刻な所得格差」「財政不均衡」「温室効果ガスの発生」「サイバー攻撃」「水資源の不足」といったグローバルリスクに加え日本固有のリスクが顕在化しているにも関わらず、日本政府には1年後どころか2〜3ヶ月先の世界経済すら想定する能力が無い。と語る。
本書は「リスクシナリオ」について著者の視点で語られている。
書かれているのはまずは前提条件の変更
30年前、世界をリードしていたアメリカ。この地位の低下による覇権国家無きグローバル資本主義時代。
それによりG7はG20と拡大したことで、主要先進国による国際協調による世界秩序の指示が困難になっている。その時代を著者は「Gゼロ」という。
こうした中でに日本はどのようなリスクシナリオを書くべきか。
まずはリスクシナリオについて説明
日本は、ユーロ危機、アメリカの景気後退、新興国の構造不況、地政学的変動、気候変動、地殻変動という六つの大きなリスクを抱えていることを説明。
これらのリスクが相互に複合的に連関し、その結果スクリューフレーションという異常な経済現象をひきおこしている。
この現象が日本国民の生活を蝕んだが、そうした中で進められた政策ー消費税増税、脱原発、発送電分離ーがさらに悪化させる効果を持つものばかりだったことから日本が直面している最大のリスクはリスクを想定外することすらできない日本人自身といっている。
このあと、グローバルリスク、中国リスク、長期の将来を見据えたリスク、水資源の問題、食糧不足などを解説。
最後に日本はどうすべきかでまとめる。
最後に著者は語る。
本書の内容は筆者個人の見解であると。
それはそれでいいだろう。しかし著者も学者出身であり、様々な文献、事象から本書に書かれている仮説を立てたはずであり、そのロジックは私よりははるかに確からしい。
目に見える事象からあれはいい、あれはいけないと判断するだけだなく、一つの分析からの評論としては役に立つ本であった。
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