こんな夜更けにバナナかよ by 渡辺 一史【読書記録】

今年読んだ本の中で一番衝撃を受けた本です。

筋ジストロフィー患者の 鹿野靖明

難病患者は病院にいるのがいいのか?
介護は親まかせでいいのか?
そんな世の中の風潮やとりまく空気に対し、自分は自分の出来る範囲で生きたいと強い意志を持ち、自宅でボランティアに囲まれて生活を送った鹿野氏。
本人ととりまくボランティアについてのルポです。

他人と一緒に24時間365日過ごす壮絶な生活を

ボランティアに囲まれてと書くと幸せそうに感じますが、それは壮絶な生活です。
まず、筋ジストロフィーという病気が筋肉に衰え、まったく力が無くなる訳です。
ですから、自分では何も出来ない。
人間、寝ている間にはなんども寝返りを打っているそうですが、それも出来ない。
なので、24時間、夜間もボランティアがついて、要求の度に寝返りを打たせる。
当然、トイレにも一人で行けないし、お尻も拭けない。
それを全部他人にやってもらう。
24時間365日。当然それだけのボランティアを揃えるだけでも大変。
それより自分一人になる時間が全くない生活って想像できないですね。

ボランティアに厳しい鹿野氏

普通、ボランティアにきてもらったら、「ありがとう」という気持ちが先にたち、遠慮するものですが、鹿野氏はまったくそんな事がありません。
いないと困るのですが、来ている限り自分ではできないことはボランティアにしてもらうのが当然。
それもきちっとやってもらうという事が徹底してます。
「帰ってしまえ」と言われたボランティアも何人もいます。
それでも残るボランティアは残るし、鹿野氏は自分はボランティアを教育しているという不思議な関係を作っています。
強烈な個性を持った筋ジストロフィー患者とその生活を支えたボランティアの人たち
そして、難病患者に対する日本の対応など様々な切り口で、この難病患者を取り巻く環境を紹介した本です。
元々は2003年に出版されており、今回文庫化されました。
講談社ノンフィクション賞など受賞しており、
中々良いノンフィクションでした。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました