【書評】神様からのギフト - ザ・コーチ2 by 谷口貴彦

書評

大手菓子メーカーの商品企画部に勤める主人公岡本和美は入社20年目。既婚で子供も二人の共働きの家庭である。

これまでは補助的な仕事だったが、他社の共同プロジェクトのリーダーを任されることになります。

さて、これまで組織を引っ張ったことがない和美さん。

本書はこの和美さんがプロジェクトをいかに成功まで導かせるか。そして家庭内でもトラブル発生。仕事と家庭をどう両立させていくのか? 指導を通じて乗り越えていくストーリー仕立てによりコーチングについて教えてくれる本です。

本書の中には多くの印象に残るフレーズが出てきますので、流れを追って紹介しましょう。

第1章 誕生

最初はプロジェクトをまかせれた後の最初のパートナー企業とのミーティング。その日は土曜日ですが、娘の保護者会と重なっています。さあ、夫になんと言うか。 和美さんはこれまで自分からみてもあいまいな基準で人生の数々の選択をしてきました。この時出てくるフレーズが

人生は、選択と決断が作り出している。自らの価値観に従って勇気を持って道を選んだ時、人は、人生を自由に生きる権利を行使したことになる。

 

第3章 必然

和美さんはリーダーを任せれた後、会社のコーチングの研修に参加することになります。この研修を受け、これまでの人生を変えたいと強く思うのですが、ここで言われてフレーズが

人を活かすためには確かにスキルや方法も重要ですが、その前に、人に対する見方が大きく影響します。

お互いに活かし合い、それぞれの力が発揮されるチームでは、お互いの存在そのものに価値がある、人はそれぞれ違うからチームとして成果を出せる、という関係性ができあがっています。

といったこと。人が違うからチームとして成果を出せるというのは、いい指摘だと感じます。

どうしても人は同質になるほうが心地よいですので、この考えを染みこますことは大事かと思います。

次にコーチから言われてことが、

皆さんはチームのリーダーとして、どんな信条をお持ちですか? 信条とは、自分が固く信じて守っている事柄です。チームの力を発揮する能力が高いリーダーは、信条を明確に持っています。

うーん、これは耳が痛く感じました。あらためて自分はどんな信条を持っているのか。考え直す必要性を感じます。

さて、第1回目のコーチングでの締めはリーダーとなる人に対しての言葉です。

リーダーとは、チームやそのメンバーに一番影響する人です。リーダーシップとは影響力だと思います。

相手の存在そのものを価値あるものとして認める第一歩は、相手のすべてに関心を持ち、それを態度や言葉で示すことです。

 

第4章 受容

1回目の研修を終え、職場でコーチングでの学びを試し始めた和美さん。その行動の変化からいろんな気付きを感じ始めます。そして、研修での言葉を思い出しながら感じたこと。それが、

人は、自分の価値観や、自分が大切にしていることや、 自分の物語に興味を持ってくれる人に信頼を寄せ、心を開くと思います。

 

第5章 バランス

集合によるコーチングからパーソナルコーチングを受け始めた和美さん。コーチングを受けることにより到達したいゴールのセットから始めます。そこで最初に言われたのがコーチの役割

コーチの役割は、答えを教えたり、代わりに問題を解決したりすることではありません。私は、岡本さんが自分の目的やゴール、ビジョンをありありと描き、現在地点の状態やバランスを自覚できるようサポートします。

そしてコーチから言われて言葉が、

自分にはまだ九十五%以上の伸び代があって、やり方次第でどんなことも叶う』と信じてほしいんです。自分の可能性にワクワクしてほしいんです。このことを信じられないと、コーチングはスタートできません。

このように心構えを述べられた後から段々コーチングに入っていきます。

その最初の説明がライフバランスボールです。

成功曲線に、駆け上がるタイヤのような絵を描き、そこに六つの領域に分けて、それぞれに【人間関係・家庭】【お金・収入】【仕事・生きがい】【リフレッシュ・チャージ】【健康】【環境・持ち物】と書いた。

コーチが言うのには、この6つの項目が、がたがたのバランスホイールだったらたとえ目標を達成しても着いた時には疲れてしまう。なので人生にはバランスが必要だということです。

さらにライフバランスにはもうひとつあるといいます。それが、

【自己受容】【自己信頼】【自己尊重】

この3項目を三角形を三段にわけてかいたのをバランス・ピラミッドといっています。そして、この3段の一番下が自己受容。なぜ一番下かというと、

自己受容とは、あるがままに自分のすべてを受け入れるということです。それは、自分の特性や感情、性格、さらには体の特徴などもです。

つまり自分にとって、一番そばにいてくれる人は自分自身。なので自分で自分を受け入れたら少なくとも1人は一生自分の見方でいてくれる人が存在するということになる。これができて初めて上の欲求を満たす行動に移れるということなのです。

 

第6章 始動

自己受容について考えたあと、次のステージにあがるためへの課題は厳しいもの。それは、

まず許せない気持ちを抱いている人の名前を挙げて、その人のどんなことを恨んでいるのか、全部書き出してください。その人に対する文句も具体的に書いてください。そして、許せないと思った時にどんな気持ちだったかを、感情を表す言葉で書いてください

次に、その許せない人を思い出して、こじつけでもいいので、その人がいたことでよかったことを一つでもいいので書いてください。そして、そのことを手紙にして投函するか、電話で伝えてください。最後は、『ありがとう』と感謝の言葉で終わってください。

このような課題をこなすことで和美さんは物の見方が変わっていきます。

第7章 加速

そんな時起こった家族でも問題。その家族に対しての和美さんの対応はこれまでとは違ったものになっています。

家族の問題も解決していった和美さん。さて、プロジェクトも佳境に入っていきます。

 

第8章 上昇

次のコーチングでおこなったのが、セルフエスティームを高めること。

セルフエスティームとは、自分で自分を尊ぶ力、言い換えれば『自己尊重』です。つまり、自分を大切にすべきものとして扱う力で、自尊心を高く保つために、自分や外部に対して行動する力です。  この逆は、自己卑下です。自己卑下する人は、自分なんてどうせ、という見方をして、自分を下げることで今の状態をよしとしようとします。しかし、それは周りに対して、自分を卑下していいと伝えていることと同じです。

セルフエスティームを高める方法をいくつかコーチの教わり、その中で自分ができることを取り組む和美さん。これまであまり言いたいことが言えなった和美さんもコーチングを受けどんどんいいにくい事をいうようになり、その結果色々抱えていた大きな荷物が降ろせた感じを味わっていきます。

 

第9章 チャージ

3回目のパーソナルコーチではプロジェクトの目的を再セットしていきます。そして、チームの目標を明確にします。

まずは目標とはなにかについて教わります。

目標とは、目指す標と書きます。地図の上での次の通過地点です。しかし、中には目標というと、評価基準だと思って苦しく捉える人がいます。目標=ノルマと思い込んでいるんです。

目標とは、チームや個人が、幸せな人生を歩くために描く地図に立てた目印です。これから向かう先に目印があれば、岐路で迷わないし、歩いている時も安心です。

そして、チーム目標を明確にし、プロジェクトの目的とビジョンをもう一度メンバーに伝えることをコーチに約束します。

4回目のセッションでは、阻害要因を取り除くことに取り組みます。そこで言われたことが、

エネルギーの集中を阻害しているものを取り除くアプローチは、新しい行動を起こすよりも強力に働くことがあって、人生をシンプルにする効果を持っています。【パレートの法則】ともいいます。持っているエネルギーを最も効果的なことに集中すると、全体が良くなるということです。

現時点で未完了なことと、今、必要以上に我慢していることを【未完了リスト】と【妥協リスト】に書き出して、それらを一つずつ解決していきませんか?

このセッションを受けたあとチーム内で自分がこれまでできなかった事を解決し、阻害要因は取り除かれます。

いよいよプロジェクトも終盤に向かっています。

 

第10章 成長

最後のコーチングセッションでは、再度ゴールのビジョンを明確にすることからはじめます。

さて、プロジェクトと家庭生活がどうなったかは読んでのお楽しみです。

コーチングの最後の言葉は

ゴールは人生の最終地点ではありません。

人生という道のりでは、ゴールは通過点です。

だからゴールテープを切るときは、次の夢へのスタートでもあるんです。

夢を描き、ゴールを目指し、ゴールを突き抜けて次の夢を描く。

この繰り返しことが、自分の人生を幸せに堪能することだと思います。

この先へと続く人生の、幸せな成功曲線を描き続けてください。

 

コーチングについて語っている本ではありませんが、まるで自分自身がコーチングを受けているように感じる本です。

読んでいると様々な気付きを得られ、気持ちが前向きになる一冊でした。

 

 

 

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