首都水没 by 土屋 信行 ~ 自然災害に人間は勝てないと改めて思った

著者の土屋さんは1975年 東京都の職員となり、いわゆるまちづくりを担当したきた方だ。
最近では、東日本大震災の復興活動として、宮城県女川町の復興にも取り組んでいる。
そんな著者が語るのが東京都は世界で一番危険な都市であると言うこと。

日本は温暖化しているのか?

本書に書いてはないが、私は確実に温暖化していると感じている。
私が勤める会社は昔は本決算が10月20日、半期が4月20日だった。
そんな事もあり、昔はこの決算日を衣替えにしていたのだが、はっきり言って、今は、10月20日に衣替えするとまだ、暑い。昔はちょっと我慢して冬服に変えていたというのに。
4月もそうだ。4月20日に夏服に替えるとちょっと寒かったのに、今は暑いくらい。
そんなことからも温暖化しているんだと思っている。

もし東京で洪水が起こったら

第3章で地下鉄洪水予測についての説明がある。
荒川放水路の右岸21km地点で堤防が午前0時頃決壊したとする。
すると、決壊11分後には氾濫した洪水は約700m離れた東京メトロ南北線の赤羽岩渕駅に到達。
水というのは高いところから低いところを目指す性質らしく、そのまま濁流は地下鉄へ。
王子神谷駅には1時間後、南北線を進む濁流は後楽園駅で、大江戸線に流入。
そこから白金高輪駅をとおり、三田線に流入し、14時37分には溜池山王に到達するとのこと。
堤防決壊後6時間で6駅、9時間で23駅、12時間で66駅、15時間で89駅が浸水するそうだ。
とにかく、洪水の危険性がある時はまっさきに地上に出ろと著者は言っている。

なんで東京は危険都市に

もともと東京というのは、周りの山から東京湾に向かって広い地域が関東平野。
その一番低い場所に作ったのが東京だそうだ。
低い地域に土砂を運んできたのが、いまの隅田川と江戸川。
隅田川はもともと荒川と呼ばれていいたそう。
荒川というのは文字通り、荒れる川だったらしい。
そんな川を流れを変えたのだが、いかんせん自然の力にはかなわなかったようで、数年前にも地下鉄に流入し、通行止めになったことをつい思い出してしまいす。

雨が降らなくても

人間の力で川の流れを変えてもそれは付け焼き刃に過ぎず、本質的な解決にはなっていない。
しかも東京の場合、下町の0m地帯。
これはどうも地下水の汲み取り作業の多すぎが効いているそうだ。
これは地下水を掘る方だけでなく、くみ上げ過ぎも問題らしい。
地下水の汲み上げによる地盤沈下。ひどいところでは、25年間で2.5mも沈下したそうだ。
では、汲み上げを止められなかったのか?
これに対しては、日本の法律では土地の所有権はその上下に及ぶとなっているらしい。
つまり1平米でも自分の土地があれば、どんどん掘って、そこから地下水を汲み上げることは全く問題無いとのこと。ヨーロッパのいくつかの国では地下水利用のルールが整備されているが、日本は掘ったもん勝ちってことらしい

まとめ

本書は最後に強靭な日本を作るためにということでまとめに入っている。
ここでは、東日本大震災で、女川原発は何故無事だったかということになっている触れている。
女川町に原発の受け入れが決まった後の住民説明会で地元のお年寄りから最初の計画の場所に対し、その場所は物を建てるところでないとの声がかかり、高台にしなければダメとの指摘があったそう。
東北電力も言い伝えを調査し計画案を修正したお陰で今回の被災をまぬがれたそうだ。
また、震災で多くの神社仏閣は津波をまぬがれている。
これも言い伝えから安全な場所にたれられた物ばかりだそうだ。。
世界一リスクを抱える都市東京。首都機能が集中しており、洪水でやられたら一発で日本はアウトである。
このリスクに対する対策を誰が立てるのか?
自分たちではまず自分で出来ることをするしか無いと思う。
本書の中でも書いてあるが、むかしはお祭りというのは災害対策だったそうだ。
近所に住む人がお祭りという共通目標に向かって力を合わせる。
それがいざ、災害という時にお互い助け合える関係性が出来てくる。
私も数年前自治会長を務めた時、自治会のお祭では、災害用の豚汁炊き出しなど、災害対策をイベント化し、いざ必要なものは何かということを確認した。
東京という都市が抱えるリスクを確認する上で、特に関東地方に住む人には本書を一読することを勧めたいと思った一冊でした。

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