AIに振り回される社長したたかに使う社長 by 長尾一洋 【読書記録】

書評

AIやIoT、RPAなど様々なテクノロジーが新聞や雑誌の記事を賑わせ、
そのようなテクノロジーを活用しないと時代遅れになるような風潮があります。
しかしそんなテクノロジーに惑わされず、テクノロジーは有効に活用し、経営に役立てようという本を紹介します。

本書の著者はNIコンサルティングという経営コンサルティング会社を設立され経営されている方です。
これまで、5000社以上の経営支援に携わった経験からITに振り回されず、有効活用することを進めているのが本書です。

 

今回紹介するのは、こちらの本

 

 

本書では、連日AIやIoTなどの最新のテクノロジーが取り上げられているが、新しいテクノロジーを導入しただけでは、何かすごいことが起こるわけではないと述べられています。

それは、パソコンやインターネットもそうでしたが、最初に話題になった時に振り回されるよりも結局みんな使う事になるのだから、どう活用するのかを考えようとのことです。

本書では繰り返し、フィードバック、フィードフォワードという言葉が使われています。

フィードバックは分かると思いますが、フィードフォワードとは先行管理のことです。

著者はフィードバックも重要だが、起こってしまって変えられないことをあれこれいうよりも、これから起こることに対して、どうしていこうかという手を検討することが重要だと繰り返し述べられており、その先行管理のためにテクノジーをいかに活用するか、その方法を紹介しています。

悪い例として、結果管理ばかりの社長とか、前月の業績を追及する社長、顧客の声が聞こえない社長などの例をだし、先行管理できている社長との比較をしています。

また、先行管理をするためには、これまで常識だとされていたPDCAのサイクルを捨て、PSDS(PLAN-SEE-DO-SEE)サイクルを導入すべきと述べられています。

SEEを入れているのは、現実をみる、見える化するということがいかに大事かということです。

また、PSDSのサイクルを回すためには、テクノロジーの活用が不可欠ですが、徹底して使わなければ効果が出ないとも述べられています。

中途半端な例としては、ワークフローを導入しても自分の経費が明らかになるのを嫌がる社長などを挙げられています。

本書では、働き方改革の実現についても述べられています。
「早く帰れ」とか「残業を減らせ」とか叫ぶだけでは生産性は上がらないとも述べられており、組織的に生産性をあげるにはテクノロジーの力を借りて「CMCAM」を実現しなければならないそうです。

CMCAMとは組織で生産性を高めるために必要な5つのポイントで

  1. Current Situation 現在状況の把握
  2. Messaging 情報伝達の用意性
  3. Cokkaboration 相互作用を生む議論
  4. Accumulation 情報の蓄積と共有
  5. Mutual Check 誰かが見ているという「お天道様秩序」

のことです。

また、時間と場所の制約を取り払い、働き方を柔軟にするためにはペーパーレス化の重要性を強く説明しています。

先ほどの、テクノロジーの活用を徹底できていない悪い例と合わせて述べられていますが、せっかく様々な指標をIT化し見えるようにしてもマネジメント層へのレポートがそこからデータを抽出し、加工してフォーマット化されたのでは、IT化の意味がないとも述べられています。

このような話は多くの企業でありがちですね。

最後にはテクノロジーを活用してうまくいっている企業の例として

  • セコム
  • コマツ
  • QBハウス

の例が出ています。それぞれリアルの人によって行われる部分とテクノロジーとの融合により企業価値を高めた例がかかれており大変参考になります。

働き方改革が叫ばれる中、マネジメント手法の参考になる一冊でした。

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