最近、転職活動をしていて求人票をみてなんとなく怪しさを感じていたことがありますが、
本書を読んでその理由が明確になりました。
本書の著者はNPO法人POSSEの代表を務める今野晴貴さん。
今野さんはブラック企業問題に長らく取り組み、そもそも「ブラック企業」という言葉で第30回(2013年)流行語大賞トップ10 を受賞している方です。。
本書では、「日本では、求人票に嘘を書いても誰にも取り締まられない」ということから詐欺企業が日本には多くあり、そういった企業に負けないためのノウハウを伝えてくます。
今回紹介するのはこちらの本です。
本書の構成は次のとおりです。
- 求人詐欺 典型的な6つのケース
- こんな求人票がアブない
- 求人詐欺の見抜き方
- 求人詐欺の対処法
- オワハラに負けるな
- なぜこの業界は、労働者だましが横行しやすいのか
- 日本の労働市場に求められる新ルール
求人詐欺の典型的なケースとしては、
- 営業職は「事業場外みなし労働時間制」との言葉のもと、残業代が出ない大手住宅メーカーの話
- 休憩時間は1時間と書かれているにもかかわらず、実際には休憩がとれず、また休憩とされた時間についても施設外に出ることは許されず、休憩所のパソコンで事務作業を行わされる障害者施設の話
- 固定残業制で月100時間以上の残業にも関わらず残業代が支払われない大手コンビニチェーンの話
などが書かれています。
では、どんな求人票がアブないかというと、「大卒 23万円」と書かれているが、注意書きに「30時間分の残業手当を含む」と書かれているもの。
これは、求職活動していると私もよく出会う求人票です。企業によって含まれる残業時間が10時間だったり、20時間だったり異なりますが、ひどいのは40時間というのもありました。
また、「正社員採用偽装」という求人もあるそうです。これは「正社員」として募集しているのに、契約段階になって「最初の6ヶ月は契約社員」と言ってくるケースがあるそうです。
また、幹部候補生の名のもとに入社後すぐに管理職扱いとし、残業代ゼロとする求人にも注意が必要です。
そういった企業の見分け方として、求人ナビサイトは信用せず、親戚や知人友人の口コミ、「就職四季報」といった客観的データでの確認があります。
特に「就職四季報」には3年後離職率というのがあるそうですが、この回答がNA(ノーアンサー)としている企業は注意が必要とのことです。
本書では、このように典型的なブラックな求人の例、見分け方を紹介したあと対処方法についても説明しています。
また、このような問題を生みやすい業種として、
- 介護業界
- 保育業界
- コンビニ
- 飲食業界
- IT業界
- エステ業界
についてなぜそうなるのかという業界の構造的な問題についても触れられています。
転職者にしろ新卒にしろ、就職活動の際には、本書を一読し参考にするのがよいと感じた一冊でした。
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